コラム
建築金物とは?種類や役割を3つの分類で解説。耐久性とデザイン性を両立する選び方

ドアを開けるためのハンドル、窓のサッシ、壁の裏で柱を支えるボルト、建物の顔となる門扉やフェンス。これらはすべて「建築金物」と呼ばれるものです。
この記事では、建築金物の基礎知識から、役割ごとの詳細な分類、素材による特性の違いまでを体系的に解説します。さらに、風雨にさらされ続ける過酷な環境である「外構・エクステリア」において、いかにして耐久性とデザイン性を両立させるか、その視点もご紹介します。
1. 建築金物とは? 役割と3つの主な分類
まずは、建築金物の全体像を把握することから始めましょう。建築金物とは、建築物に取り付けられる金属製の部品や部材の総称です。釘一本、ネジ一つから、建物を彩る巨大な装飾パネルまでその範囲は多岐にわたりますが、単なる「部品」として片付けることはできません。これらは、建物が建物として機能するために不可欠な「命運を握る要素」であるといえます。
1-1. 建築金物の定義と役割
建築金物の役割は大きく分けて「構造体の補強」「機能の付与」「デザインの向上」の3点に集約されます。
1-2. 分類1:構造を支える「構造金物」
一つ目の分類は、建物の骨組みを支え、強度を確保するために使われる「構造金物」です。「補強金物」や「接合金物」とも呼ばれます。
構造金物の選定や取り付け位置、使用する釘の本数などは、建築基準法および関連告示・仕様書によって基準が定められています。適切な場所に適切な強度の金物が使用されていなければ、確認申請が通らないだけでなく、実際の災害時に甚大な被害をもたらすリスクがあります。まさに、建築物の背骨を支える金物といえるでしょう。
1-3. 分類2:機能を持たせる「機能金物」
二つ目は、建物に機能を持たせ、人間が使いやすいようにするための「機能金物」です。一般的には「建具金物」と呼ばれることが多いジャンルです。
ドアノブ、レバーハンドル、蝶番(ちょうつがい)、鍵(錠前)、ドアクローザー、戸車、窓のクレセント錠、網戸のレールなどが代表例です。
1-4. 分類3:空間を彩る「装飾金物」
三つ目は、空間の美しさや雰囲気を演出するための「装飾金物」です。「意匠金物」とも呼ばれます。
門扉、フェンス、手すり(ハンドレール)、面格子、バルコニーの装飾パネル、階段の手すり、カーテンレール、装飾的な照明器具のブラケット、妻飾りなどが含まれます。これらは建物の外観(ファサード)や内装(インテリア)の印象を決定づける「顔」としての役割を果たします。
建物のコンセプトやオーナーの美意識を最も色濃く反映できるのが、この装飾金物の分野です。素材の質感やデザイン様式(モダン、クラシック、和風など)によって、建物の印象は劇的に変化します。
2. 住宅から店舗まで。場所別に見る建築金物の用途
建築金物の基礎知識を整理したところで、次は具体的な使用場所ごとの違いに注目してみましょう。住宅、店舗、そして外構。それぞれのシーンで求められる役割や優先順位は異なります。
2-1. 住宅における使用例
個人の住宅において最優先されるのは、「家族の安全を守ること」と「日常生活の快適さ」です。
構造面では、前述のとおり耐震性を確保するための構造金物が大量に使用されます。
生活空間においては、毎日の家事動線や生活リズムを妨げない機能金物が選ばれます。これらは「当たり前に使えること」が求められるため、耐久性とメンテナンスのしやすさが重視されます。
2-2. 店舗・商業施設における使用例
一方、レストランやカフェ、ホテル、ブティック、結婚式場などの店舗・商業施設では、「デザイン性」と「空間演出」が極めて重要になります。
店舗設計においては、そのブランドの世界観を表現するために、既製品ではなく特注の金物が採用されるケースが多くあります。

2-3. 外構・エクステリアにおける重要性
そして、今回特に注目したいのが「外構・エクステリア」における建築金物です。門扉、フェンス、カーポート、アプローチの手すり、バルコニーの手すりなどがこれにあたります。
外構は、建物の第一印象を決める重要な要素です。どんなに建物本体が立派でも、入り口の門扉が貧相であったり、フェンスがサビだらけであったりしては、全体の資産価値を大きく下げてしまいかねません。
しかし、外構は常に雨風や紫外線、車の排気ガスなどにさらされる過酷な環境にあります。特に日本は湿度が高く、台風も多いため、屋外の金属にとっては非常に厳しい条件です。そのため、屋内用の金物とは比較にならないほど高い「耐候性」と「耐久性」が求められます。
デザイン性を追求しつつ、長期間美しさを保つことができる素材と加工技術を選ぶこと。それが、外構・エクステリアの計画における最大のポイントであり、失敗しないための鍵となります。
3. 失敗しない選び方。素材の特性と「サビ」への対策
屋外で使用される建築金物を選ぶ際、避けて通れないのが「サビ」の問題です。ここでは、主要な金属素材の特性と、サビに対する正しい知識、そして解決策について解説します。
3-1. 鉄・ステンレス・アルミ。素材による違い
建築金物に使われる代表的な素材は、鉄、ステンレス、アルミニウムの3つです。それぞれのメリットとデメリットを理解しましょう。
■鉄(スチール・ロートアイアン)
古くから建築金物の主役として使われてきた素材です。加工性が高く、熱してたたくことで繊細な曲線や造形を作り出すことができます。重厚感と温かみのある質感は他の金属にはない圧倒的な魅力ですが、そのままでは非常に酸素と結びつきやすく、サビやすいという欠点があります。
■ステンレス
強度も高く、シャープでモダンな印象を与えます。非常に硬いため加工が難しく、鉄のような有機的で複雑なデザインを作るのには不向きです。また、価格も比較的高価になる傾向があります。
■アルミニウム
軽量で加工しやすく、空気中で表面に酸化皮膜を作るためサビに強いのが特徴です。既製品のフェンスや門扉、カーポートの多くに採用されています。ただし、鉄やステンレスに比べると強度が低く、質感も軽いため、重厚感や高級感を出すのが難しい場合があります。

3-2. 屋外使用で避けられない「サビ」のリスク
「ステンレスやアルミなら絶対に安心」と思われがちですが、それは誤解です。ステンレスであっても、表面の汚れや塩分(海岸地域など)が付着したまま放置されると、「もらいサビ」などで腐食が進むことがあります。アルミも環境によっては白く粉を吹いたような腐食が発生し、美観を損なうことがあります。
そして、デザイン性において最も魅力的な「鉄」にとって、サビは最大の天敵です。適切な防錆処理が施されていない鉄製品は、屋外に設置すると、環境条件によっては、数週間から数ヶ月程度で赤茶色のサビが発生することもあります。そのまま放置すれば、塗装が剥がれ落ち、ボロボロになり、最悪の場合は腐食によって折れてしまうこともあります。
しかし、だからといって「鉄は屋外に向かない」と諦める必要はまったくありません。正しい技術で防錆処理を行えば、鉄は数十年以上もその美しさを保つことができるのです。ここで重要になるのが、「亜鉛」の力です。
亜鉛めっき処理を施すと、亜鉛が鉄の代わりにサビることで酸化皮膜を形成し、本体を長期間守ります。 これを「犠牲防食作用」と呼びます。鉄が傷ついて露出しても、周囲の亜鉛が溶け出して鉄を保護するという、化学的なメカニズムです。この処理がなされているかどうかが、屋外金物の寿命を決定づけます。
3-3. 既製品とオーダーメイドの違い
ホームセンターやカタログで選べる「既製品」は、大量生産によってコストが安く抑えられており、納期も早いというメリットがあります。多くはアルミ製や、コスト重視のスチール製です。しかし、サイズが決まっているため敷地にぴったり合わせることが難しく、デザインの選択肢も限られます。また、防錆性能についても、コストカットのために必要最低限の塗装のみで済まされているケースが少なくありません。
一方、「製作金物」は、設計者の意図や敷地の形状に合わせて一から製作されます。「ここにあと5センチ広さが欲しい」「建物の雰囲気に合わせた装飾を入れたい」といった要望に完全に応えることができます。そして何より、使用環境(海岸近く、温泉地、都市部など)に合わせた最適な防錆処理を指定することができます。初期コストは既製品より高くなりますが、長い目で見ればメンテナンス費用を抑えられ、建物の価値を高めることができる賢い選択肢といえるでしょう。
4. デザインと耐久性を両立。株式会社メタルクリエイトの「製作」技術
サビのリスクを克服し、ヨーロッパの街並みのような美しい景観を実現したい。そんな願いを叶えるのが、ロートアイアン専門メーカーであり、内装金物も請け負う株式会社メタルクリエイトです。
メタルクリエイトは、単なる金物メーカーではありません。「ヨーロッパの街並みを再現」し、そこで過ごす人々に「くつろぎの時間や空間」を提供することを理念に掲げる、空間づくりのパートナーです。ここでは、その技術的な強みとこだわりをご紹介します。
4-1. ヨーロッパの街並みを再現する高いデザイン性
株式会社メタルクリエイトの最大の特長は、イギリスのパブやフランスのカフェを彷彿とさせる、本場の中世・ルネサンス様式のデザインを忠実に再現する力です。
熟練の職人が手作業で鉄をたたき、曲げ、ねじって造り出す「ロートアイアン」は、既製品の鋳物にはない独特の味わいと存在感を放ちます。門扉、フェンス、手すり、面格子、キャノピー、階段手すりなど、あらゆる建築金物を製作可能です。
4-2. 万全のサビ対策。溶融亜鉛めっきと塗装による多層防錆
デザイン以上にメタルクリエイトが徹底しているのが、「万全のサビ対策」です。屋外で使用されるロートアイアン製品には、極めて高い防錆性能が求められます。
メタルクリエイトでは、製品の製作後、JIS規格に準拠した「溶融亜鉛めっき処理(ドブ漬け)」を行います。これは、440度〜460度の高温に溶けた亜鉛の槽に製品を丸ごと浸し、鉄の表面に分厚い亜鉛の合金層を形成させる処理です。
この処理により、前述した「亜鉛が鉄の代わりにサビることで酸化皮膜を形成し、本体を長期間守る」という保護作用が最大限に発揮されます。その耐用年数は、環境条件によって差はありますが、日本溶融亜鉛鍍金協会の大気暴露試験結果では、田園地帯で約100年、都市工業地帯で60年以上、塩害環境下でも25年以上と報告されています。
さらにメタルクリエイトでは、この亜鉛めっき層の上から、屋外用の高品質な合成樹脂塗料で仕上げ塗装を行う「二重コーティング」を標準としています。めっきと塗装の相乗効果により、鉄の弱点を完全に克服し、長期にわたって美観を維持することを可能にしています。
4-3. 国内自社工場による細やかなオーダー対応
メタルクリエイトは、国内に本社および2つの自社工場を構えています。多くのメーカーが生産拠点を海外に移す中、「国内・自社生産」にこだわり続けています。
これにより、品質管理が徹底されるだけでなく、細やかな要望への対応が可能となります。「規格品」であっても1mm単位でのサイズ変更に対応できる柔軟さは、自社工場を持つメタルクリエイトならではの強みです。
また、設計の初期段階からプロフェッショナルがサポートする「設計協力」も行っています。手描きのスケッチやイメージ写真からデザイン図を起こし、製作図面を作成、そして工場での熟練工による製作まで、一貫した体制でプロジェクトを支えます。
さらに、プロの職人や同業者向けには、部材のみの販売も行っています。数千点に及ぶアイアンパーツやアルミ装飾パネルを在庫し、その95%を2~3日で出荷可能という即納体制を整えている点も、業界内での信頼の証といえるでしょう。
5. まとめ
建築金物は、建物の安全性、機能性、そして美しさを支える重要な要素です。特に、建物の顔となる外構・エクステリアにおいては、デザインの美しさだけでなく、日本の気候風土に耐えうる「耐久性」が求められます。
安易に安価な既製品を選ぶのではなく、素材の特性を正しく理解し、適切な防錆対策が施された「製作金物」を選ぶこと。それが、長く愛せる住まいや店舗をつくるための秘訣であり、結果としてトータルのコストパフォーマンスを高めることにつながります。
「理想の空間を実現したいけれど、サビが心配」「規格品ではサイズが合わない」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。