コラム
おしゃれな面格子とは?
後悔しない選び方とデザインのコツをプロが解説
「窓の防犯対策はしたいけど、いかにもな面格子で、せっかくこだわった家の外観を損ねるのは絶対にイヤ…」
そんなふうに、防犯とデザイン性の間で悩んでいませんか?
特に、南欧風やプロヴァンス風の美しい塗り壁の住宅では、一般的なアルミ製の面格子は浮いてしまいがちです。
しかし、諦める必要はありません。面格子は、選び方次第で防犯性を高めつつも、家の外観をさらに魅力的に引き立てる””アクセサリー””のような存在になり得るのです。
この記事では、「面格子はダサい」というイメージを覆す、おしゃれなロートアイアンの面格子を中心に、後悔しない選び方のポイントから、あなたの理想を形にするオーダーメイドの世界まで、豊富な事例とともにご紹介します。
読み終える頃には、きっとあなたも我が家の窓辺に美しい面格子を迎えたくなっているはずです。
なぜ今「おしゃれな面格子」が選ばれるのか?
防犯対策として古くから存在する面格子ですが、近年その価値観は大きく変化しています。「いかにも」なデザインではなく、住まいの外観を積極的に美しく見せる「おしゃれな面格子」を選ぶ方が増えているのです。
その背景には、単なる機能性を超えた、住まいへの深いこだわりがあります。特に、熟練の職人が一本一本手作業で作り上げるロートアイアン製の面格子は、既製品にはない圧倒的な魅力で、デザイン性を重視する人々から熱い支持を集めています。
ここでは、なぜ今「おしゃれな面格子」が選ばれ、多くの人を魅了するのか、その3つの理由を深掘りしていきます。
理由①:手仕事ならではの圧倒的なデザイン性
おしゃれな面格子が選ばれる最大の理由は、その芸術品のような圧倒的なデザイン性にあります。特に、熱した鉄をたたき、曲げ、伸ばして成形する「ロートアイアン」の技術は、その魅力を最大限に引き出します。
一般的なアルミ製の面格子は、金型に素材を流し込んで成形する「鋳物」や、既成の角材を組み合わせるものがほとんどです。そのため、デザインは画一的で、どこか無機質で冷たい印象を与えがちです。
一方で、ロートアイアンは職人が自らの手で鉄を操る、いわば「鍛造」によって生み出されます。熱せられて赤く輝く鉄が、ハンマーの一振り一振りで生命を吹き込まれるように形を変えていくのです。この手仕事ならではのプロセスが、植物のつるが伸びるような繊細な曲線や、温かみのある有機的なフォルムを可能にします。
それは、もはや単なる「建材」ではありません。窓辺を飾る世界に一つだけの「アート作品」です。例えば、つたやブドウの葉をモチーフにした優雅なデザイン、お住まいの方のイニシャルを組み込んだオリジナルデザインなど、その表現力は無限大です。
手仕事だからこそ生まれる、機械では再現できないわずかな「ゆらぎ」や「槌目(つちめ)模様」の痕跡。それらすべてが味わいとなり、住まいの外観に深みと高級感、そして作り手のぬくもりを与えてくれるのです。
理由②:どんな窓にも完璧に調和するフィット感
「特殊な形の窓だから、合う面格子がない…」「後付け感がどうしても出てしまいそうで不安…」そんな悩みも、オーダーメイドのおしゃれな面格子なら解決できます。どんな窓にも完璧にフィットし、建物と一体化したような美しい仕上がりを実現できることも、選ばれる大きな理由です。
一般的な規格品の面格子は、当然ながら定められたサイズしかありません。そのため、少し変わったサイズの窓や、円窓、アーチ窓、縦長のスリット窓といったデザイン性の高い窓には、取り付け自体が困難なケースが多くあります。たとえ取り付けられたとしても、窓枠との間に不格好な隙間ができてしまったり、取り付け金具が目立ってしまったりと、「とりあえず付けた」という印象になりがちです。
その点、オーダーメイドのロートアイアン面格子は、設計段階からミリ単位での調整が可能です。専門の職人やデザイナーが現地調査を行い、窓の正確な寸法はもちろん、壁面の状態、窓枠のデザイン、さらには外壁材(塗り壁、タイル、サイディングなど)との相性までをトータルで考慮し、最適なデザインと取り付け方法を提案します。
壁からの持ち出し寸法(depth)を絶妙に調整することで、面格子に立体感が生まれ、美しい影を壁に落とす効果も計算できます。取り付け金具さえもデザインの一部として溶け込ませるため、後付けであっても、まるで新築時からそこにあったかのような自然で美しい調和が生まれるのです。
理由③:家の価値を高める本物の素材感と耐久性
デザイン性やフィット感に加え、「本物の素材」が持つ重厚感と、長く美観を保つ優れた耐久性も、おしゃれなロートアイアン面格子が選ばれる重要な理由です。それは、単なる消耗品ではなく、住まいとともに歴史を刻む「資産」としての価値を持ちます。
まず、手に触れた瞬間に伝わる鉄ならではの「ずっしりとした重み」と「堅牢さ」は、プリントやメッキでは決して再現できない本物だけが持つ魅力です。光の当たり方によって陰影が深く刻まれ、外観に高級感と落ち着きをもたらします。
一方で、「鉄はさびるのでは?」という心配をされる方もいらっしゃるでしょう。しかし、現代のロートアイアン製品は、その点を克服するための高度な防錆処理が施されています。中でも「溶融亜鉛めっき(通称:ドブ漬け)」は、高温で溶かした亜鉛のプールに部材を丸ごと浸すことで、表面だけでなく、内部や接合部の隅々まで強力な皮膜を形成する非常に優れた防錆処理です。この処理の上に、さらに耐候性の高いウレタン塗装などを施すことで、過酷な屋外環境でも長期間にわたってサビの発生を防ぎ、美しさを保ち続けます。
もちろん、経年による多少の色あせなどは起こり得ますが、それさえも「味わい」として楽しめるのが本物の素材のよさです。適切なメンテナンスを行えば、親から子へと受け継いでいけるほどの耐久性を誇ります。圧倒的な満足感と長期的な耐久性、そして家の外観的価値を高める効果を考えれば、決して高い買い物ではないといえるでしょう。
【外観スタイル別】おしゃれな面格子3選
「おしゃれな面格子」と一言でいっても、そのデザインは多種多様です。大切なのは、お住まいの外観スタイルに調和し、その魅力をさらに引き立てるデザインを選ぶこと。
ここでは、代表的な住宅の外観スタイル別に、相性のよいおしゃれな面格子のデザイン事例を3つご紹介します。あなたの家の窓辺を想像しながら、理想のデザインを見つけてみてください。
南欧・プロヴァンス風を彩る、エレガントな曲線デザイン
白い塗り壁にオレンジ系のテラコッタ瓦、アーチ状の玄関ポーチが特徴的な南欧・プロヴァンス風の住宅。そんな温かみと開放感あふれるスタイルには、植物などをモチーフにしたエレガントな曲線デザインのロートアイアン面格子が絶妙にマッチします。
南フランスやスペインの街並みで見られるように、有機的なフォルムを持つロートアイアンは、自然素材を多用するプロヴァンス風建築と本質的に親和性が高いのです。デザインモチーフとして人気なのは、生命力あふれる「ブドウのつるや葉」、「オリーブの枝」、そして古くから装飾に使われてきた「唐草模様」などです。これらのデザインが、窓辺に優雅でロマンチックな雰囲気をもたらします。
また、渦巻き状の装飾(ヴォリュート)をデザインのアクセントに取り入れるのも定番のスタイルです。カラーは、白い壁にシルエットが美しく映える王道のマットブラックが人気ですが、少しさびたような風合いのアンティークブラウンや、サッシの色に合わせたブロンズカラーなども、より建物になじみ、趣深い表情を見せてくれます。
小さな滑り出し窓にワンポイントで取り付けたり、フラワーボックスと一体化したデザインにしたりすることで、防犯性を高めながら、まるで絵画のような美しいフォーカルポイントを生み出すことができます。
シンプル・モダンな住宅を引き締める、洗練のデザイン
直線的なラインで構成された、装飾の少ないシンプル・モダンな住宅。一見すると、装飾的な面格子は似合わないように思えるかもしれません。しかし、実はミニマルな空間にこそ、ロートアイアンの持つ本物の素材感と計算されたデザインが、建物の印象を格上げする絶好のアクセントとなります。
直線を基調としつつも、「一部にだけ」柔らかな曲線を加えたり、アシンメトリー(非対称)な構成にしたりするのも洗練されたテクニックです。シャープな印象はそのままに、硬質になりすぎず、リズミカルで遊び心のある外観を演出できます。
カラーは、建物のクールな印象を引き締めるマットブラックが最適ですが、外壁やサッシの色に合わせてチャコールグレーやシルバー系を選ぶことで、より統一感のある洗練されたたたずまいになります。無機質な外観に、あえて異素材である「鉄」の質感を加えることで、建物全体に深みと高級感が生まれるのです。
和モダンにも調和する、上質な格子デザイン
伝統的な和の要素と、現代的なライフスタイルを融合させた和モダン住宅。そんな落ち着きと風格のあるたたずまいにも、ロートアイアンの面格子は見事に調和します。
意外に思われるかもしれませんが、「鉄」という素材は、古くから日本の寺社仏閣の飾り金具や釘隠しなどにも使われてきた、和の建築と非常に関わりの深い素材です。そのため、デザインを工夫することで、木や土、石といった自然素材とも美しく響き合います。
和モダン住宅に合わせるデザインの基本は、日本の伝統建築にも通じる「格子」です。縦格子や横格子を基本としながら、格子の太さやピッチ(間隔)を絶妙に調整することで、繊細な印象にも重厚な印象にもコントロールできます。
さらに、格子の間に「麻の葉」「七宝」「青海波」といった日本の伝統文様をモチーフとして組み込むのも大変おしゃれです。これらの幾何学模様は、ロートアイアンの直線・曲線の組み合わせで美しく表現でき、住まいにさりげない「和」の品格を添えてくれます。また、竹や笹の葉といった、和を感じさせる植物をモチーフにするのもよいでしょう。
仕上げの塗装も、一般的なブラックだけでなく、少しサビが浮いたようなアンティーク調の仕上げや、鋳物のようなざらっとした質感の塗装を施すことで、和の「わびさび」に通じる独特の風情を醸し出すことができます。りんとしたたたずまいの中に、手仕事の温かみが加わり、上質で個性的な和モダンの外観が完成します。
まとめ
防犯のために設置する面格子が、家の外観を損ねる時代は終わりました。
熟練の職人が手掛けるロートアイアンの面格子なら、確かな防犯性能と、まるでアートのような美しいデザインを両立できます。
既製品では決して得られない、あなたのこだわりと、我が家の物語を映し出す世界に一つだけの面格子。
それは、窓辺を彩る美しいアクセサリーとなり、住まいへの愛着をより一層深めてくれるはずです。